「ピッチ補正をかけたら、声がケロケロして機械みたいになった…」——歌ってみたでよくある失敗です。この記事では、ピッチ補正を“自然に”仕上げるコツを、MIXエンジニアの視点で解説します。ケロケロを狙う演出は別として、ここでは「補正したと気づかれない自然な仕上げ」を目指します。
ケロケロ声(俗にいうケロり)は、補正のスピードが速すぎることが主な原因です。音程が瞬間的にカチッと正解の高さに吸い付くと、人間の声にはない不自然な動きになり、あの独特の響きが生まれます。演出として使うなら魅力ですが、ナチュラルに仕上げたいなら、この“吸い付きの速さ”を緩めるのが第一歩です。
自動でザッとかけるより、音を1つずつ手作業で直すほうが、圧倒的に自然に仕上がります。外れた音だけをつまんで正しい高さに寄せ、動きのカーブは自然な形を保つ。手間はかかりますが、歌の表情を殺さずに整えられます。ピッチそのものを鍛えたい人は ピッチを安定させる練習 もどうぞ。補正は“救済”であって、上手さの土台は歌唱です。
MIXでピッチを触るとき、私が大事にしているのは「その人らしい歌い回しを消さない」ことです。しゃくり上げ、ため、微妙な揺れ——一見“ズレ”に見える動きこそが、その歌の個性だったりします。機械的に全部を正解の高さへ吸い付けると、上手いけれど誰の歌か分からない、のっぺりした仕上がりになります。直すのは“事故”だけ、“味”は残す。これが自然な補正の肝です。
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