音域チェッカーで測ったら「C4〜A4」と出た。ところが歌いたい曲の情報を調べると、最高音は「hiA」と書いてある。——この2つが同じ音だと気づくまでに、時間がかかった方は多いと思います。
結論から言います。C4 = mid2C、A4 = hiA。まったく同じ音です。呼び名が2種類あるだけで、音の高さは1ミリも違いません。
この記事では、歌ってみたで使われる low / mid1 / mid2 / hi / hihi の表記と、国際式の C4・A4 形式の対応表を、lowlowA から hihihiC まで全音載せます。あわせて、多くの方がつまずく「なぜ mid2A が A3 になるのか」という数字のズレも、はっきり説明します。
音の高さを表す方法は、歌ってみた界隈で主に2つ使われています。
| 呼び方 | 書き方の例 | どこで使われるか |
|---|---|---|
| 国際式(科学的音高表記) | C4 / A4 / F#3 | DAW、楽譜アプリ、チューナー、音域チェッカー |
| 歌ってみた表記(カラオケ表記) | mid2C / hiA / mid1F# | 曲の音域まとめサイト、歌い手の概要欄、SNS |
どちらが正しい、ということはありません。楽器を扱う人は国際式に慣れていて、歌う人はカラオケ由来の表記に慣れている、という文化の違いです。
ですので、必要なのは「変換できること」だけです。表を1枚持っていれば済みます。
これが本記事の中心です。ピアノ中央の「ド」= mid2C = C4 を基準に、上下すべてを並べました。
| 歌ってみた表記 | 国際式 | ドレミ | 目安 |
|---|---|---|---|
| lowlowA | A0 | ラ | ピアノ最低音付近。歌声ではまず出ません |
| lowlowB | B0 | シ | — |
| lowlowC | C1 | ド | — |
| lowlowD | D1 | レ | — |
| lowlowE | E1 | ミ | — |
| lowlowF | F1 | ファ | — |
| lowlowG | G1 | ソ | — |
| lowA | A1 | ラ | 極低音。出せる方はごく少数です |
| lowB | B1 | シ | — |
| lowC | C2 | ド | 男性の低音域の下限あたり |
| lowD | D2 | レ | — |
| lowE | E2 | ミ | — |
| lowF | F2 | ファ | — |
| lowG | G2 | ソ | 男性としてもかなり低い音 |
| mid1A | A2 | ラ | 男性の低めの話し声あたり |
| mid1B | B2 | シ | — |
| mid1C | C3 | ド | 男性の話し声の中心あたり |
| mid1D | D3 | レ | — |
| mid1E | E3 | ミ | — |
| mid1F | F3 | ファ | — |
| mid1G | G3 | ソ | 男性のAメロでよく使う高さ |
| mid2A | A3 | ラ | 女性の低音域/男性のBメロあたり |
| mid2B | B3 | シ | — |
| mid2C | C4 | ド | ピアノ中央の「ド」。基準の音です |
| mid2D | D4 | レ | — |
| mid2E | E4 | ミ | 女性の話し声あたり |
| mid2F | F4 | ファ | — |
| mid2G | G4 | ソ | 男性のサビで頻出。ここが快適なら選曲は広がります |
| hiA | A4 | ラ | 男性ボーカルのひとつの壁 |
| hiB | B4 | シ | — |
| hiC | C5 | ド | 女性のサビでよく出る高さ |
| hiD | D5 | レ | — |
| hiE | E5 | ミ | ボカロ曲で頻出 |
| hiF | F5 | ファ | — |
| hiG | G5 | ソ | 女性でも高音域 |
| hihiA | A5 | ラ | 多くの方は裏声の領域です |
| hihiB | B5 | シ | — |
| hihiC | C6 | ド | — |
| hihiD | D6 | レ | — |
| hihiE | E6 | ミ | — |
| hihiF | F6 | ファ | — |
| hihiG | G6 | ソ | — |
| hihihiA | A6 | ラ | ホイッスルボイスの領域 |
| hihihiB | B6 | シ | — |
| hihihiC | C7 | ド | — |
44音は多すぎる、という方へ。歌ってみたで実際によく登場するのは、この12音です。
| 表記 | 国際式 | どんな場面で出てくるか |
|---|---|---|
| lowG | G2 | 男性の低音自慢が語られるとき |
| mid1C | C3 | 男性の音域の下限としてよく書かれます |
| mid1G | G3 | 男性のAメロ帯 |
| mid2A | A3 | 女性の音域の下限としてよく書かれます |
| mid2C | C4 | すべての基準(中央のド) |
| mid2E | E4 | 女性のAメロ帯 |
| mid2G | G4 | 男性のサビ最高音として非常に多い |
| hiA | A4 | 男性が「出るかどうか」を気にする音 |
| hiC | C5 | 女性のサビ最高音として非常に多い |
| hiE | E5 | ボカロ曲の高音サビ |
| hiG | G5 | かなりの高音。裏声を使う方が増えます |
| hihiA | A5 | ほぼ裏声の領域 |
ここが最大の混乱ポイントです。対応表をよく見ると、こんなことが起きています。
同じ「mid2」の中なのに、国際式の数字が 3 と 4 にまたがっています。これは間違いではありません。
理由はシンプルで、2つの表記で「段が切り替わる場所」が違うからです。
| 表記 | 段が切り替わる音 |
|---|---|
| 国際式(C4など) | C(ド)で数字が1つ増える |
| 歌ってみた表記 | A(ラ)で mid1 → mid2 → hi と切り替わる |
ドとラで、2音ぶんずれています。この2音ぶんが、「数字が合わない」と感じる正体です。
接頭辞は、おおまかな高さの帯を示しています。
| 接頭辞 | 範囲 | 感覚的な位置づけ |
|---|---|---|
| lowlow | A0〜G1 | 歌声ではほぼ使いません |
| low | A1〜G2 | 男性の低音域 |
| mid1 | A2〜G3 | 男性の中音域/話し声 |
| mid2 | A3〜G4 | 男性の高音域/女性の中音域 |
| hi | A4〜G5 | 男性の限界付近/女性の高音域 |
| hihi | A5〜G6 | 多くは裏声 |
| hihihi | A6〜 | ホイッスルなど特殊な発声 |
「hi」がついたら女性の音域、というわけではありません。hiA・hiB あたりは男性ボーカルでも日常的に登場します。接頭辞は性別ではなく高さの目安です。
他のサイトやアプリで、中央のドが C3 と表示されて戸惑ったことがあるかもしれません。これも間違いではなく、流儀の違いです。
| 流儀 | 中央のドの呼び名 | 採用している例 |
|---|---|---|
| 国際式(科学的音高表記) | C4 | 多くのチューナー、楽譜ソフト、YOUMIXの音域チェッカー |
| ヤマハ式など | C3 | 一部の楽器メーカー、一部のDAWの初期設定 |
「C#4」「mid2F#」のように # がつくことがあります。これは半音(鍵盤の黒鍵ひとつぶん)高いという意味です。
| 表記 | 読み | 国際式 |
|---|---|---|
| mid2C# | ミッドツーシーシャープ | C#4 |
| mid2F# | ミッドツーエフシャープ | F#4 |
| hiA# | ハイエーシャープ | A#4 |
まれに「D♭4」のようにフラット(♭)で書かれることもあります。C#4 と D♭4 は同じ音です(ピアノでは同じ鍵盤)。曲の情報サイトによって書き方が変わるだけなので、気にしなくて大丈夫です。
歌ってみたの世界で、hiA(A4)だけが特別扱いされているのに気づいた方もいると思います。理由は2つあります。
男性ボーカル曲のサビ最高音は mid2G(G4)〜 hiC(C5) に集中します。その入口が hiA です。hiA が無理なく出せるかどうかで、原キーのまま歌える曲の数が大きく変わります。
地声から裏声へ移行する境目が、この付近に来る方が多いためです。hiA だけ急に苦しくなる、声が裏返るという相談は、実際とても多く受けます。
もし hiA が厳しいと感じたら、キーを何音下げるかの計算方法 と 裏声・ミックスボイスの基礎 をあわせてご覧ください。出ない音を無理に出すより、キーを2つ下げたほうが、仕上がりは確実に良くなります。
あくまで目安ですが、自分の位置を把握する助けになります。
| — | おおよその音域(歌ってみた表記) | 国際式 |
|---|---|---|
| 男性の平均的な地声 | lowG 〜 mid2G 前後 | G2 〜 G4 |
| 男性・高音が得意な方 | mid1C 〜 hiC 前後 | C3 〜 C5 |
| 女性の平均的な地声 | mid1G 〜 hiC 前後 | G3 〜 C5 |
| 女性・高音が得意な方 | mid2A 〜 hiF 前後 | A3 〜 F5 |
音名が読めるようになると、キー変更の計算がとても簡単になります。ルールは1つだけです。
具体例を3つ挙げます。
| 原曲の最高音 | -1 | -2 | -3 |
|---|---|---|---|
| hiC(C5) | hiB(B4) | hiA#(A#4) | hiA(A4) |
| hiA(A4) | mid2G#(G#4) | mid2G(G4) | mid2F#(F#4) |
| mid2G(G4) | mid2F#(F#4) | mid2F(F4) | mid2E(E4) |
hiA を1つ下げると mid2G# になる——名前が hi から mid2 に変わるので驚くかもしれませんが、音としては半音ひとつ下がっただけです。区切りが A にあるせいで、名前だけが大きく変わって見えています。
下げ幅の決め方そのものは 自分の音域が分かったら次にやること と キー変更のやり方と目安 で詳しく解説しています。
実際に作業を始めると、場所によって表記が変わります。整理しておきます。
| 場所 | よくある表記 | 注意点 |
|---|---|---|
| DAWのピアノロール | C4 / C3 | ソフトによって中央ドの呼び名が違います。設定で変更できる場合もあります |
| チューナーアプリ | C4 など国際式 | おおむね国際式です |
| カラオケ機器のキー設定 | ±0、-1、-2 … | 音名ではなく半音単位の増減です。-2 は半音2つ下という意味 |
| 曲の音域まとめサイト | mid2C / hiA | 歌ってみた表記が主流です |
| YOUMIXの音域チェッカー | C4(国際式) | ページ内に対応表があります |
カラオケの「-2」は音名ではありません。「今の高さから半音2つぶん下げる」という相対的な指示です。ここを混同すると、依頼時のやりとりで話が食い違います。
最後に、実務の話をひとつ。音名を使えると、MIXの依頼が驚くほどスムーズになります。
| 伝え方 | 受け取る側で起きること |
|---|---|
| 「サビの高いところが苦しいです」 | どの音か探すところから始まります。確認のやりとりが1往復増えます |
| 「hiC(C5)から上が苦しいです」 | 処理する帯域が一度で決まります。初回の仕上がりが近くなります |
とくに耳に刺さる帯域の処理やピッチ補正の強さの判断では、最高音が分かっているかどうかで作業の精度が変わります。MIX依頼のテンプレート にも音域の記入欄を用意していますので、測定結果をそのまま書き写していただければ十分です。
ご自身の音域がまだ分からない方は、音域チェッカー(無料・ブラウザ・登録不要)で3分ほどで測れます。結果は国際式(C4形式)で出ますので、この記事の表でそのまま mid2C 形式に変換できます。
A. はい、まったく同じ音です。ピアノのちょうど真ん中にある「ド」を指します。歌ってみたやカラオケでは mid2C、楽器やDAWでは C4 と呼ばれることが多いだけで、高さは同じです。
A. A4 です。mid2G(G4)のすぐ上の「ラ」にあたります。男性ボーカルにとってひとつの壁と言われる高さで、J-POPやボカロのサビで頻繁に登場します。
A. 2つの表記で区切りの位置が違うためです。国際式は C(ド)で数字が上がり、歌ってみた表記は A(ラ)で段が切り替わります。そのため mid2 の中で A3・B3 と C4〜G4 が混在します。
A. 数字の振り方の流儀が2つあるためです。中央ドを C4 と呼ぶ国際式と、C3 と呼ぶ方式があります。他サイトと1つずれて見えるときは、ほぼこれが原因です。当サイトは国際式です。
A. lowG は G2 で、男性としてもかなり低い音です。hihiA は A5 で、多くの方にとっては裏声の領域にあたります。
A. 半音を1と数えて、2つぶん下に動きます。hiA(A4)の曲を2つ下げると mid2G(G4)です。鍵盤を左に2つずらすだけ、と考えてください。
A. 相談が速くなります。「サビが苦しい」より「hiC から上が苦しい」と伝えていただけると、狙う帯域が一度で決まります。録り直しの回数も減らせます。
覚えることは、実はたったこれだけです。
音名は、歌う人とエンジニアが同じものを指すための共通の言葉です。読めるようになると、曲の音域情報が読めるようになり、キーの計算ができるようになり、MIXの相談も具体的にできるようになります。覚える価値のある、数少ない「用語」だと思っています。
まずは 音域チェッカー でご自身の音域を測って、この表で mid2C 形式に変換してみてください。次のステップは 測った音域を選曲に使う3ステップ にまとめています。用語全般は 歌ってみた用語辞典 もどうぞ。
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