MIXを依頼するときに、意外と差が出るのがファイル名です。「録音1.wav」「新規録音 2 (1).wav」のまま送ってしまうと、MIX側は「どれがメインで、どれがハモリ?」から確認しなければならず、着手が遅れます。逆に名前が整っていれば、開いた瞬間に構成が分かり、その日のうちに作業が始められます。
この記事では、YOUMIXが実際の案件で使っている命名規則を、そのまま真似できる形で公開します。覚えるのは Main / Harm / Gaya / Cho / Inst の5語だけです。
まずは完成形から。実際の案件フォルダは、こんな見た目になっています。
ポイントは3つです。
00 はオケや参考音源、01 から歌)Main / Harm / Gaya / Cho)| 略語 | 意味 | 使う場面 |
|---|---|---|
| Main | メインボーカル | 主旋律。ダブル録りやAメロ/サビで分けたなら Main1・Main2… |
| Harm | ハモリ | 上ハモ・下ハモ。Harm1・Harm2… と番号で分ける |
| Gaya | ガヤ・合いの手 | 「Hey!」「せーの」など、掛け声やアドリブ的な短いフレーズ |
| Cho | コーラス | 「Uh」「Ah」など、言葉ではなく声で厚みを足すパート |
| Inst | オフボーカル(カラオケ音源) | そのまま Inst でOK。キーを変えたなら Inst+3 のように書く |
| Ref | 参考音源 | 原曲や、仕上がりの参考にしたい音源 |
「ガヤ」と「コーラス」は混同されがちですが、MIXでは処理がまったく違います。Gaya は言葉として聴かせたい(前に出す・左右に散らす)、Cho は響きとして馴染ませたい(奥に置く・広げる)ため、名前で分けてもらえるだけで判断が早くなります。ハモリの作り方そのものは ハモリの作り方【3度上・3度下】 をどうぞ。
フォルダ名は 日付_名前_曲名[BPM] の形をおすすめしています。
BPMやキーが分からない場合は、無料の BPM・キー判定ツール で調べられます。キーの考え方は 原曲のキーの調べ方 にまとめています。
数字を先頭に付けると、フォルダ内で常に同じ順番に並びます。ルールはシンプルに、
00_ … オケ(Inst)や参考音源(Ref)など、歌以外の素材01_ 以降 … 歌のパラデータを、メイン→ハモリ→ガヤ→コーラスの順で数字は必ず2桁(01, 02 …)にしてください。1桁だと「1, 10, 11, 2」のように並んでしまいます。
同じ役割が複数あるときは、Main1 Main2 のように末尾に番号を振ります。番号の意味は「録った順」でも「上ハモ→下ハモの順」でも構いませんが、1つの案件の中では統一してください。迷ったら、依頼メッセージに一行「Harm1が上ハモ、Harm2が下ハモです」と添えれば完璧です。
原曲キーのままなら Inst、キーを変えたなら Inst+3 Inst-2 のように、変更した分だけ書き足します。ここが抜けていると、MIX側で原曲と重ねたときにキーが合わず、原因調査に時間を取られます。キー変更については キー変更(移調)の考え方 も参考にしてください。
| NGな名前 | 何が困るか |
|---|---|
| 録音1.wav | 役割が分からない。全部再生して聴き分ける必要がある |
| メイン最新.wav / メイン本番_これ.wav | 「最新」がどれか、後から見ると本人にも分からなくなる |
| Audio 1_02 (1).wav | DAWの自動名のまま。空白と括弧はトラブルの元 |
| ハモリ.wav / ハモリ2.wav | 日本語でも意味は通じるが、環境によって文字化けすることがある |
| main.wav / MAIN.wav が混在 | 大文字小文字が混ざると並び順が崩れる |
特に「最新」「本番」「これ」といった相対的な言葉は避けてください。送る時点では明確でも、修正のやり取りが2〜3往復した頃には、どれが最終版か分からなくなります。使わないテイクは、そもそも送らないのが一番確実です。
基本は「使ってほしいテイク1本だけ」を送ってください。どうしても選べない場合は 01_Main1_takeA.wav 01_Main1_takeB.wav のように末尾で分け、依頼文で「サビはtakeBが好みです」と伝えてもらえれば対応できます。
メインもハモリも1本にまとまっている場合、MIXで個別に処理できません。DAWでパートごとに書き出し直してください。書き出しの設定(WAV/頭合わせなど)は MIX依頼時の音源の準備 に詳しくまとめています。
揃えておくと書き出しがそのまま正しい名前になるので、断然ラクです。録音前にトラック名を Main1 Harm1 …と決めておけば、書き出し時に手で付け直す手間がなくなります。
フォルダごとZIPにして、ギガファイル便などのファイル転送サービスで送るのが定番です。手順は MIX音源の渡し方・ファイル便の使い方 をどうぞ。
MIXを受けていて実感するのは、ファイル名がそのまま指示書になっているということです。名前が整ったデータが届くと、まず全体像が見えて、「このGayaはサビ前だけだな」「Cho1とCho2は重ねて広げよう」と、聴く前から方針が立ちます。そのぶん、細かい表情づくりに時間を使えます。
逆に、名前が曖昧なデータは、確認のメッセージが1往復増えます。1往復=半日〜1日。せっかく良いテイクが録れていても、それだけで納品が遅れてしまうのはもったいない話です。
命名規則は、慣れれば1分もかかりません。しかも一度DAWのテンプレートに入れてしまえば、次からは自動です。最初の1曲だけ丁寧にやってみてください。
録音そのものの準備は 歌ってみたの録音ガイド、依頼全体の流れは MIX依頼の流れ完全ガイド にまとめています。
そのまま使えるMIX依頼文テンプレート集を無料でお配りしています。何をどこまで書けば伝わるのかを、依頼を受ける側の視点でまとめました。累計3,000曲のMIXで毎回確認している10項目のセルフ診断シートと宅録チェックシートもセットです。所要15分、メールアドレスだけで受け取れます。
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