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声量がない・小さいと言われる人へ
声量の測り方と、MIXで直せる範囲

2026年8月 公開 ・ 発声/録音
YOUMIX 運営者(MIXエンジニア/ボーカルディレクター)のアイコン 監修:YOUMIX ボーカルディレクター 東京・北池袋/歌ってみたMIX・ボーカルディレクション担当
声量の測り方とMIXで直せる範囲を解説するイメージ

「声量がないね」と言われた。録音した自分の声を聴いたら、思っていたよりずっと小さかった。オケに混ぜたら埋もれてしまった。——このあたりの悩みは、歌ってみたを始めた方から本当によく届きます。

先に結論をお伝えします。「声量がない」と感じている人の相当数は、実際には声量ではなく録音の設定でつまずいています。そして本当に声量の問題である場合も、MIXで補える部分と、どうしても補えない部分がはっきり分かれます。

この記事では、まず自分の声量を測る方法を示し、次に「小さく聞こえる原因」を切り分け、最後にMIXで直せる範囲と直せない範囲を表で整理します。ここが分かると、練習すべきところと、機材で解決すべきところと、MIXに任せてよいところが、きれいに分けられます。

この記事の位置づけ。自分の声の高さの範囲を知りたい方は 声の音域チェッカー音域の調べ方 を、オケに埋もれる問題そのものは ボーカルが埋もれる・こもる原因と対処 をご覧ください。この記事は「声の大きさ」に絞った実務編です。
この記事で分かること
  1. そもそも声量とは何か——「大きさ」ではなく「届き方」
  2. 自分の声量を測る3つの方法
  3. 声量の目安(数値で見る)
  4. 声が小さく聞こえる原因は5つに分かれる
  5. 【要注意】録音設定のせいで「声量不足」に見えているケース
  6. MIXで直せる範囲と、直せない範囲
  7. 声量を上げるための練習4つ
  8. やりがちなNG5つ
  9. 録音前チェックリスト
  10. よくある質問

1. そもそも声量とは何か——「大きさ」ではなく「届き方」

声量という言葉は、日常では「声の大きさ」とほぼ同じ意味で使われます。ただ、歌の現場でいう声量は、もう少し広い意味を持っています。

要素内容録音での現れ方
音量物理的な音の大きさ波形の高さ・メーターの振れ
芯(倍音の強さ)声に含まれる高い成分の量音量を下げても輪郭が残るか
持続音量を保ったまま伸ばせる長さ語尾がしぼまないか
安定フレーズ内で音量が暴れないか波形の凸凹の激しさ

この4つのうち、MIXで後から足せるのは「音量」だけです。残りの3つは、歌った時点で音源に入っているか入っていないかが決まります。ここが、この記事全体を通していちばん大事な前提になります。

身近なたとえで言うと

声量は「スープの濃さ」に似ています。薄いスープを大きな器に注いでも、量は増えますが味は濃くなりません。MIXでの音量アップは器を大きくする作業で、味そのもの——つまり声の芯——は増えないのです。

逆に言えば、味さえ出ていれば、量はいくらでも調整できます。「小さい声で丁寧に録った音源」は、MIXでいくらでも前に出せます。困るのは「大きいけれど芯のない声」のほうです。声量に悩む方が思っているのと、実は逆のことが起きています。

2. 自分の声量を測る3つの方法

まず現状を数字にしましょう。感覚だけで「自分は声が小さい」と決めつけている方が、実際に測ると平均以上だった、というのはよくあります。

方法用意するもの手軽さ精度向いている目的
騒音計アプリスマホのみ◎ すぐできる△ 機種差が大きいざっくり把握・日々の比較
DAWのレベルメーターマイク+DAW○ 相対比較は正確録音での実力を知る
距離テスト不要△ 主観的「届く声」かの確認

方法1:スマホの騒音計アプリで測る

いちばん手軽です。手順はこれだけです。

  1. 静かな部屋で、スマホを口元から50cmの位置に置く
  2. まず普通に話して数値を見る(これがあなたの基準になります)
  3. 次に、いつも歌っている感じで1フレーズ歌う
  4. 最後に、無理のない範囲でいちばん強く歌う

注意点を正直に書きます。スマホの騒音計アプリは、機種やマイクの個体差で数値が10dB近くずれることがあります。他人の数値と比べても意味がありません。使い方としては、「先週の自分」と比べるための道具だと考えてください。

方法2:DAWのレベルメーターで測る

録音環境がある方は、こちらのほうが実用的です。録音時のゲイン設定を一切変えずに、次を記録します。

この最大と最小の差が、あなたの表現の幅(ダイナミックレンジ)です。差が10dB以下しかない場合、声量そのものより「強弱をつけられていない」ことのほうが課題かもしれません。歌が平坦に聞こえる原因の多くはここにあります。

方法3:距離テスト(機材ゼロでできます)

部屋の端に立ち、反対側の壁に向かって歌ってみてください。壁から声が返ってくる感覚があるかを確かめます。返ってこない場合、音量ではなく声の方向性が課題です。

これは古典的ですが、意外に的確な方法です。声量のある人の声は、遠くの壁でもはっきり跳ね返ってきます。

3. 声量の目安(数値で見る)

あくまで目安として、口元50cmで測った場合のおおよその値を示します。測定環境で簡単に上下するので、幅で捉えてください。

状態おおよその値感覚
ささやき声約30〜40dB隣の人にだけ聞こえる
普通の会話約55〜65dBほとんどの人がここ
やや大きめに歌う約70〜80dB宅録での標準的な音量
しっかり歌う約80〜95dBスタジオで求められる水準
フルで張る約95dB以上長時間は喉に負担

宅録で歌ってみたを作る場合、無理に95dBを目指す必要はありません。マイクは近くにあるので、必要な音量はスタジオでの生歌より小さくて済みます。

むしろ宅録では、大きすぎる声のほうが問題になります。部屋の反響が強く乗ってしまい、後からMIXで取り除くのが難しくなるためです。部屋の響きについては 宅録の吸音・部屋の反響対策 にまとめています。

ここが分かれ道です。「声量を上げる」ことがゴールなのは、ライブや生歌の場合です。録音の場合、ゴールは「安定して芯のある声を、適切な音量で録ること」であって、大きさ自体ではありません。目的を取り違えると、努力の方向がずれます。

4. 声が小さく聞こえる原因は5つに分かれる

相談を受けたときに、私が実際に順番で確認している項目です。上から順に、頻度が高いものになっています。

#原因見分け方解決先
1録音の設定・機材生声は普通なのに録音だけ小さい機材の見直し(第5章)
2マイクとの距離・向き日によって録れ具合が違う立ち位置の固定
3息の使い方語尾がしぼむ・伸ばすと震える発声の練習(第7章)
4喉の締まり強く出すと苦しい・高音でかすれる発声の見直し・ボイトレ
5共鳴の不足音量はあるのに埋もれる響かせ方の練習

1と2で解決するケースが、体感で半分以上を占めます。つまり、練習を始める前に確認すべきことが残っている、という方が非常に多いということです。

4番と5番の違いが分かりにくい、という声について

「喉の締まり」と「共鳴の不足」は混同されやすいのですが、症状が違います。

前者は放置すると喉を痛めます。該当する方は、音量を上げる練習より先に、力を抜く方向の見直しをおすすめします。喉のケアは 喉を守るコンディション管理 に整理しています。

5. 【要注意】録音設定のせいで「声量不足」に見えているケース

この章がいちばん実利があります。ここを直すだけで解決した、という方が本当に多いためです。

症状疑うべき原因確認方法
録音がとにかく小さいインターフェースのゲインが低いGAINツマミの位置を見る
ほぼ無音に近いファンタム電源(+48V)がオフコンデンサーマイクなら必須
こもって小さいマイクの裏側で歌っている正面がどちらかを確認
ときどき小さい立ち位置が毎回ずれている床にテープで印をつける
小さいうえにノイズが多いマイクが遠すぎる口元15〜20cmを基準に
大きいが割れるゲインの上げすぎピークを−6dBFS以下に

いちばん多いのは「マイクの裏側で歌っている」です

笑い話のようですが、本当によくあります。コンデンサーマイクの多くは単一指向性——つまり正面の音だけを拾う設計になっています。ロゴが正面とは限らず、機種によって異なります。

裏側で歌うと、音量が小さくなるうえに、こもった音になります。これを「自分の声量が足りないせいだ」と受け取ってしまうと、まったく無駄な練習を積むことになります。まず取扱説明書で正面を確認してください。マイク選びそのものは 歌ってみた用マイクの選び方 にまとめています。

ゲインの適正な設定

録音レベルの目安は次の通りです。

・いちばん強く歌ったときのピーク → −6dBFS 前後 ・平均的なフレーズのピーク    → −12dBFS 前後 ・0dBFS に触れる         → NG(音が割れます)

「大きく録るほど良い」は誤解です。現在の録音は24bitが標準で、小さめに録っても後から持ち上げる余裕が十分にあります。割れた音だけは、後から絶対に戻せません。機材選びの基礎は オーディオインターフェースの選び方 をどうぞ。

🎚 録音した音源が小さい・埋もれる、その原因診断からご相談いただけます。
歌ってみたのMIXを相談する(YOUMIX)

6. MIXで直せる範囲と、直せない範囲

この記事の核心です。ここを正しく理解しておくと、依頼するときにも、練習するときにも、迷いがなくなります。

項目MIXで直せるか理由
全体の音量が小さい◎ 直せます持ち上げるだけの作業
フレーズごとの音量差◎ 直せます音量を書いて均す作業(オートメーション)
語尾が急にしぼむ○ ある程度持ち上げられるがノイズも一緒に上がる
オケに埋もれる○ ある程度周波数の整理で改善可能
声の芯・倍音がない△ 限定的元々ない成分は作れない
息が続かず伸ばせない× 直せません音が存在しない
音量を上げるとノイズも上がる× 根本的には無理比率は録音時に決まっている
喉が締まった苦しい声× 直せません声質そのもの

「ノイズも一緒に上がる」の意味

ここが、声量とMIXの関係でいちばん誤解されている点です。

録音には必ず、声以外の音——エアコン、パソコンのファン、部屋の外の音——が一緒に入っています。声が小さいと、この声とノイズの比率(S/N比)が悪くなります。

MIXで音量を上げるとき、声だけを上げることはできません。録音されたものが丸ごと上がるので、ノイズも同じだけ大きくなります。比率は録音した瞬間に確定していて、後から変えられない——これが「声量不足はMIXで完全には救えない」ことの技術的な理由です。

身近なたとえで言うと。これは写真の拡大と同じです。小さく写った被写体を引き伸ばすと、被写体と一緒に画像の粗さも拡大されます。撮り直せるなら撮り直したほうが早い、というのも同じです。ノイズ処理の限界は 録音のノイズを消す方法とその限界 に詳しく書いています。

逆に、遠慮しなくていいこと

ここまで厳しめに書きましたが、過度に心配する必要はありません。

実務では、「小さいけれど静かな部屋で丁寧に録られた音源」は、まったく問題なく仕上がります。むしろ扱いやすい部類です。困るのは「大きく録ろうとして力み、割れていたり、部屋鳴りを盛大に拾っていたりする音源」のほうです。

声量に自信がない方ほど、静かな環境と正しいゲイン設定を優先してください。それだけで、声量の差はかなりの部分まで埋まります。

7. 声量を上げるための練習4つ

機材と環境を整えたうえで、それでも声量そのものを伸ばしたい場合の話です。効果が出やすい順に並べています。

練習1:姿勢を直す(即効性がいちばん高い)

猫背だと、肋骨が動く範囲が狭くなり、息が入りません。次を意識するだけで変わります。

宅録では特に注意が必要です。譜面や歌詞を見るために下を向くと、この姿勢が崩れます。歌詞は目線の高さに置いてください。これだけで録り音が変わることがあります。

練習2:息を長く均一に吐く

「ス——」と細く長く息を吐き、最後まで勢いを一定に保つ練習です。20秒を目標に、途中で弱くならないことを重視します。

長さより均一さが大事です。語尾がしぼむ人は、たいていこの練習でも後半が弱くなります。

練習3:リップロール

唇を「ぶるるる」と震わせながら音階を上下します。喉の力みを取りながら、息の量を安定させられる、負担の少ない練習です。ウォームアップとしても有効で、詳しくは 歌う前のウォームアップ・発声練習 にまとめています。

練習4:ハミングで響きを探す

口を閉じて「んー」と鳴らし、鼻や頬のあたりが震える場所を探します。ここが共鳴のポイントです。震えを感じたまま口を開けて「まー」に移行すると、その響きを歌に持ち込めます。

共鳴は、音量を増やさずに「通る声」を作る方法です。喉に負担をかけずに存在感を上げられるので、録音との相性が良い方向性です。

正直にお伝えすると。発声は、文章だけで身につけるのが難しい分野です。自分では正しくやっているつもりでも、外から聴くと違う、ということが頻繁に起こります。数回でも人に見てもらうと、遠回りをせずに済みます。YOUMIXでは東京・北池袋のスタジオで ボイストレーニング を承っています。録音を前提にした発声の調整も対応しています。

8. やりがちなNG5つ

NG何が起きるか正しくは
とにかく大きく歌おうとする喉が締まり、かえって通らない声になる息の量と響きで稼ぐ
マイクに極端に近づく低音が膨らみ、破裂音が強く出る15〜20cmを保つ
ゲインを上げて解決しようとするノイズも一緒に上がるまず環境を静かにする
喉が痛いまま練習を続ける回復に時間がかかる。悪化もありうる休む。痛みは中止のサイン
他人の声量と数値で比べる測定条件が違うので比較にならない過去の自分と比べる

「マイクに近づく」がなぜ解決にならないのか

マイクに近づけば音量は確かに上がります。ただし近接効果という現象で、低音が不自然に膨らみます。この膨らみはこもりの原因になり、結局オケに埋もれます。

つまり、「声が小さい」という問題を「こもる」という別の問題に置き換えているだけです。埋もれ・こもりの詳しい対処は ボーカルが埋もれる・こもる原因と対処 をご覧ください。

9. 録音前チェックリスト

録音ボタンを押す前に、この7つを確認してください。所要は2分ほどです。

録音全体の手順は 歌ってみたの録音方法・完全ガイド、MIXに出す前の下準備は MIX前の下準備チェックリスト にまとめています。

10. よくある質問

Q. 声量は測定できますか?

できます。スマホの騒音計アプリ、DAWのレベルメーター、距離テストの3つで実用上は十分です。ただし絶対値はあてになりません。「先週の自分と比べてどうか」という使い方をしてください。

Q. 声量の平均はどのくらいですか?

口元50cmで、会話が約60dB、しっかり歌った状態で約80〜95dBが目安です。ただし測定アプリの機種差が大きいため、数値そのものより変化の幅で捉えてください。

Q. 声が小さくてもMIXでカバーできますか?

音量そのものは上げられます。ただし一緒に持ち上がるノイズ、芯のなさ、伸びない語尾は作り出せません。静かな環境で正しいゲイン設定で録れていれば、声量が小さめでも十分に仕上がります。

Q. マイクに近づけば声量不足は解決しますか?

音量は上がりますが、近接効果で低音が膨らみ、破裂音も強く出ます。別の問題に置き換わるだけなので、根本的な解決にはなりません。

Q. 声量を上げるのにどれくらいかかりますか?

姿勢と息の使い方の見直しは、数週間で変化が出ることが多いです。一方、体の使い方が定着するには数か月単位を見ておくのが現実的です。推測を含みますが、短期間で劇的に変わるものではありません。まず機材と環境を整えるほうが、確実に早く効果が出ます。

Q. 録音した声が小さいのは声量のせいですか?

多くの場合は機材の設定です。ゲインが低い、ファンタム電源が入っていない、マイクの裏側で歌っている——このあたりが原因のことが圧倒的に多く見られます。第5章の表で確認してみてください。

Q. 宅録とスタジオで、必要な声量は違いますか?

違います。宅録はマイクが近いぶん、必要な音量は小さくて済みます。むしろ宅録では大きすぎる声のほうが問題で、部屋の反響を強く拾ってしまいます。環境の違いは 宅録とスタジオ録音の違い に整理しています。

まとめ

声量の悩みは、体のことなので不安になりやすい分野です。ただ実際には、機材と環境の見直しで解決する部分がかなり大きいのが実情です。練習を積む前に、まず切り分けをしてみてください。

YOUMIXでは、「録った音源が小さいのですが、これで大丈夫でしょうか」という段階からご相談いただけます。音源を聴けば、録音設定の問題なのか、発声の課題なのか、MIXで十分カバーできる範囲なのかを切り分けてお伝えできます。制作例は 実績ページ、料金は 料金・依頼ページ をご覧ください。

🎚 声量が不安な音源でも、まずは聴かせてください。
歌ってみたのMIXを相談・依頼する(YOUMIX)

自分の声を数字で把握したい方は、声の音域チェッカーチューナー もご利用ください。東京・北池袋のスタジオでのボイストレーニングでは、録音を前提にした発声の調整も承っています。

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